Concierto Al-Andalus a la memoria de Paco de Lucía
2023 JMC Music Productions
『アル・アンダルス協奏曲〜パコ・デ・ルシアに捧げる』
2023 JMC Music Productions
2023 プランクトン(日本盤)
『アル・アンダルス協奏曲』は、私が初めて作曲したギターとオーケストラのための協奏曲で、私にとって特別な意味を持っています。スペイン国立管弦楽団による委嘱で、2016年にマエストロ・ジュゼップ・ポンスの指揮により世界初演を果たしました。
この作品の作曲までの経緯には、マエストロ・ポンスと深い関わりがあります。かつて、私は彼と一緒に、オランダでの公演ツアーでギターとオーケストラのための協奏曲を演奏していました。公演後に観客からは大きな拍手喝采が沸き起こり、アンコールを求められました。舞台裏でマエストロは私に言いました「是非ブレリアスを演奏するといい」。そのアンコールに熱狂する観客の姿を彼は見逃さず、アンコールを終えた私に、ギターとオーケストラのための「フラメンコ」協奏曲を作曲したらどうかと、助言をくださいました。
早速私は意気揚々と作曲に取り組みましたが、程なく信じられないような、悲しく辛い知らせを受け取りました。私が10年にわたってセカンドギタリストを務め、私の師匠であり親友でもあったパコ・デ・ルシアの突然の死でした。私はこの作品『アル・アンダルス協奏曲〜パコ・デ・ルシアに捧げる』というタイトルをつけ、作品を彼に捧げることにしました。彼の記憶は、私の楽譜の中に必然的に現れ、私の中から絞り出される音の全ては、彼のために流した涙でした。この作品を聴かれる方々が、私がこの作品の創作中に感じたのと同じ気持ちを、追体験して頂けることを願っています。
同時に、ふたつのギターのための組曲『モサラベ』をご紹介できることを大変嬉しく思います。この作品は、2021年にコルドバ・ギターフェスティバルの委嘱により、その40周年を記念して作曲した、ギターとオーケストラのための協奏曲のギター編曲です。この作品は、コルドバの美しい風景にインスピレーションを受け、アンダルシア風で、モサラベ風なメロディーとハーモニーを融合させています。由緒ある、世界的にも重要なフェスティバルの祭典に貢献できたことは、私にとって大変光栄で名誉あることと感じています。
2023年4月
フアン・マヌエル・カニサレス