Danzas Españolas
Trilogía de Granados por Cañizares Vol. 1
2017 JMC Music Productions
『スペイン舞曲集』
カニサレスのグラナドス3部作・第1集
2017年 JMC Music Productions
日本盤未発売
グラナドスの没後100周年(2016年)と生誕150周年(2017年)の記念の年にあわせて、グラナドスのピアノの大作に焦点をあてた3部作を手がけてみようと思い、彼の作曲の中から特に私が素晴らしいを感じた曲を選曲し、ギターに編曲、レコーディングしました。3部作の第1週に選んだのが『スペイン舞曲集』です。これは、グラナドスの初期の最高傑作といえる作品です。
私が、スペインの作曲家の作品をギターに編曲しレコーディングするというライフワークに取り組始めたのは今からもう10年以上前のことになります。これまで取り上げてきたアルベニス、ファリャ、そして今回のグラナドスも、皆スペインのフォルクローレ(民俗音楽)やフラメンコに大きな影響を受け、そのエッセンスを彼らの作品の中に取り込んで行きました。私は、フラメンコギタリストとして、彼らが見据えたフラメンコのエッセンスを、できる限り細部にわたって再現することが使命だと思っています。こうして始まった「カニサレスのクラシックシリーズ」も、本作で8作目を数えます。
私が編曲をする時に特に気をつけているのは、オリジナルの調を維持するという点です。ギタリスト的な視点から見ると、それゆえに演奏が非常に難しい曲もあります。しかし、決して忘れてはなら無いのは、作曲家は何らかの意図を持ってその調で作曲しているという事実です。例えば、この『スペイン舞曲集』の中では、『ロマンティカ』と『アラベスカ』が特にギター的に演奏の難しい曲です。オリジナルの調では、開放弦が一つもありません。したがって、曲を通じて左手は必死にいずれかのフレットを押さえ続けなければならないからです。変調してギター的な「楽な演奏」を選ぶか、オリジナルの調で「作曲家の意図」を尊重するか、この疑問の前に私は迷わず後者を選びました。
私のこの小さな貢献が、ギターを愛するたくさんの方々の元に届きますように。そしてたくさんの方々がグラナドスの素晴らしき音楽の世界を堪能してくださることを願ってやみません。
2016年10月
フアン・マヌエル・カニサレス