© Amancio Guillén
【カニサレス・プロフィール】
スペイン最高峰の音楽賞「国民音楽賞」(演奏家の部)受賞。現代フラメンコを代表するギタリストで、クラシック音楽でもソリストとして活躍する。豊かな叙情性、超絶テクニックを駆使した切れ味鋭い速弾きと、澄んだ美しい音色が魅力。
1966年バルセロナ生まれ。わずか16歳でナショナル・ギター・コンクール優勝。プロの道を歩みはじめる。1989年からフラメンコ・ギターの巨匠パコ・デ・ルシアのトリオに参加し、セカンド・ギタリストとして10年間世界ツアーを共にする。
1997年に初のソロ・アルバム『イマンとルナの夜』を発表。ジャズ、クラシック、ロックなど、あらゆる要素を吸収した演奏と華やかなアレンジで高い評価を得、一流音楽家としての地位を揺るぎないものとした。これまでに発売したソロアルバムは16枚、コラボレーション作品は100枚以上に参加している。
スペイン国立バレエの作品や、映画『ロラ・セ・バ・ア・ロス・プエルトス(港へゆくローラ)』をはじめとする映画音楽の作曲も手掛ける一方、カルロス・サウラ監督の映画『フラメンコ』や『ホタ・デ・サウラ』等には、演奏家としても出演している。
さらに「フラメンコのルーツ探求」のライフワークとして、スペインの作曲家のピアノ作品をギターにアレンジしたCDシリーズを発表。これまでにアルベニス、グラナドス、ファリャ、スカルラッティの作品を発表し、ほぼ全てのアルバムがスペイン国内外のCDアワードを受賞するという快挙を成し遂げている。
2011年、サー・サイモン・ラトル指揮するベルリン・フィルハーモニー管弦楽団にソリストとして招かれ、スペイン王立劇場で『アランフェス協奏曲』を演奏した。この公演はベルリン・フィルとフラメンコ・ギタリストの初共演としてクラシック界でも大きな注目を浴び、映像作品としてもリリースされた。以来、フラメンコ・ギタリストとしての活動と平行し、世界トップクラスのオーケストラとの共演を重ねている。
作曲家としてのカニサレスの活動は、フラメンコのギター曲にとどまらず、ギターと弦楽四重奏のための作品『マドリードの月』や、ギターとオーケストラとの協奏曲と幅広い。パコ・デ・ルシアに捧げる『アル・アンダルス協奏曲』はフアンホ・メナ指揮ガリシア交響楽団とCD化を実現。この作品の初演は「ギター界において、アランフェス協奏曲初演以来の大きな出来事」と評され、以来世界各国のオーケストラと40回以上の演奏を重ねている。ホアキン・ロドリーゴに捧げる『地中海協奏曲』と、コルドバギターフェスティバルの40周年記念に委嘱作曲された『モサラベ協奏曲』は、スペイン国営放送管弦楽団との演奏、TV放送を経て、2025年CDリリースを予定している。
近年は、日本での活動も精力的に展開している。2007年、2008年には名古屋ブルーノートおよびブルーノート東京での公演、2013年には「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン“熱狂の日”音楽祭」に出演し、日本のクラシック音楽ファンから高い評価を得た。2015年、2018年、2023年には自身のクインテット、カルテット、デュオ編成で日本ツアーを行う傍ら、日本のオーケストラとも共演を重ねる。『アランフェス協奏曲』の演奏は、松尾葉子指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(2015年)フアンホ・メナ指揮NHK交響楽団(2017年)ロベルト・フォレス指揮名古屋フィルハーモニー管弦楽団と、サラマンカ大学創立800周年記念公演(2018年)など。同管弦楽団とはカニサレス作曲の『地中海協奏曲』の日本初演で再演を果たしている(2023年)。
© Amancio Guillén
2016年には、スペイン国立管弦楽団の依頼を受け、オーケストラとギターのための『アル・アンダルス協奏曲』を作曲した。フラメンコの巨匠パコ・デ・ルシアに捧げられたこの楽曲は、2016年5月27日、28日、29日の3日間にわたり、スペイン国立管弦楽団、ジョセップ・ポンスの指揮のもと、マドリードの国立音楽堂にてカニサレス本人のギター演奏によって世界初演された。この公演は「ギター界において、アランフェス協奏曲初演以来の大きな出来事」と評されて喝采を浴び、演奏家としてだけではなく、作曲家としても大きな奇跡を残している。
ソロアルバム
- 『イマンとルナの夜』(1997)
- 『アルベニス・オリジナル・トランスクリプション』(1999)
- 『プント・デ・エンクエントロ』(2000)
- 『組曲イベリア』(2007)
- 『魂のストリング』(2010)
- 『ゴイェスカス』カニサレスのグラナドス (2012)
- 『三角帽子』カニサレスのファリャ三部作・第1集(2013)
- 『はかなき人生』カニサレスのファリャ三部作・第2集(2013)
- 『恋は魔術師』カニサレスのファリャ三部作・第3集(2014)
- 『ソナタ集』カニサレスのスカルラッティ(2014)
- 『スペイン舞曲集』カニサレスのグラナドス三部作・第1集(2017)
- 『詩的なワルツ集』カニサレスのグラナドス三部作・第2集(2017)
- 『ゴイェスカス』カニサレスのグラナドス三部作・第3集(2017)
- 『洞窟の神話』(2018)
- 『アランフェス協奏曲ギターソロ & 夕暮れのプレリュード(ロドリーゴ未発表作品)』 カニサレスのロドリーゴ(2019)
オーケストラ曲レパートリー
- 『アル・アンダルス協奏曲』(カニサレス・2016年)
- 『地中海協奏曲』(カニサレス・2018年)
- 『アランフェス協奏曲』(ロドリーゴ・1939年)
- 『ある貴紳のための幻想曲』(ロドリーゴ・1954年)
共演したオーケストラ
- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
- バーミンガム市交響楽団
- ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
- ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
- スペイン国立管弦楽団
- バルセロナ交響楽団
- NHK交響楽団
- 名古屋フィルハーモニー交響楽団
- ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
- スタヴァンゲル交響楽団
- ハーグ・レジデンティ管弦楽団
- ラムルー管弦楽団
- シンフォニア・ヴァルソヴィア
- オーヴェルニュ管弦楽団
- バジェス交響楽団
- 横浜シンフォニエッタ
- 日本センチュリー交響楽団
- ネーデルラント・フィルハーモニー管弦楽団
- トゥールーズ・キャピトリ国立管弦楽団
- グルーポ・インストゥルメンタル・デ・バレンシア
- カダケス管弦楽団
- ナバラ交響楽団
- コルドバ管弦楽団
- モスクワ市交響楽団
- ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団
- バレンシア州立歌劇場管弦楽団
- バレアレス交響楽団
- エクストレマドゥーラ交響楽団
- マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団
共演した指揮者
- サー・サイモン・ラトル
- マエストロ・ジョセップ・ポンス
- マエストロ・フアンホ・メナ
- マエストロ・パブロ・ゴンサレス
- マエストロ・クリスティアン・バスケス
- マエストロ・ジャン・ジャック・カントロフ
- マエストロ・フェイサル・カルイ
- マエストロ・山田和樹
- マエストロ・篠崎靖雄
- マエストロ・ロベルト・フォレス
- マエストロ・ジョルディ・ベルナセル
- マエストロ・ジョアン・セルベロ
- マエストロ・マウリシオ・ソテロ
- マエストロ・ヤコブ・クレイツバーグ
- マエストロ・グスタヴォ・ヒメノ
- マエストロ・ルベン・ヒメノ
- マエストラ・陳美安
- マエストラ・松尾葉子
- マエストロ・エドゥワルド・ポルタル
- マエストロ・エドモン・コロメル
- マエストロ・ホセ・アントニオ・モンターニョ
- マエストロ・ダビ・ヒメネス
- マエストロ・セルゲイ・タラリン
他