Valses Poéticos
Trilogía de Granados por Cañizares Vol. 2
2017 JMC Music Productions
『詩的なワルツ集』
カニサレスのグラナドス3部作・第2集
2017年 JMC Music Productions
日本盤未発売
この作品は、作曲家エンリケ・グラナドスに捧げる3部作の第2集です。グラナドスの没後100周年(2016年)生誕150周年(2017年)を記念して、私が手がけている『カニサレスのグラナドス3部作』です。
カタルーニャ地方に生まれたグラナドスは、スペインの民俗音楽に大変大きな影響を受け、また、フラメンコにも大きな関心を寄せていました。例えば、『6つのスペイン民謡』の1曲『プレリュード』は、フラメンコギターの大家、ラモン・モントージャの演奏する『ミネーラ』に大変趣が似ていると感じます。特に曲始めの数小節ではそれが顕著に感じられます。このふたつの曲の類似性は、たまたま偶然の一致なのか、それとも両者の間に音楽的な何か繋がりがあったのか、この謎を紐解くことは、当時のフラメンコグラナドス(やその他のクラシックの作曲家)の繋がりを知る上で、とても興味深いテーマです。私は、私がフラメンコギタリストとして感じるこうしたエッセンスをできるだけ忠実に再現し、グラナドスが意図したであろう、彼のメロディーに内在するリズムに特に注目しながら演奏しています。
グラナドスの作品を、作曲家としての生涯で分析してみると、作風は初期と後期で大きく変わっているのが見受けられます。初期の作品群の中で最も優れた作品といえるのは、『カニサレスのグラナドス3部作』の第1集で扱った『スペイン舞曲集』でしょう。後期の、そして彼の作曲家としての最高傑作とされるのは、第3集に収録される『ゴイェスカス』です。その中間にあたる第2集では、初期のその他の優れた作品『6つのスペイン小品集』と後期の作品『詩的なワルツ集』を収録しました。いずれも作品にも、グラナドスのオリジナリティー、ユニークさが大変顕著に見受けられます。
グラナドスの作品は、これまでにも多くのミュージシャン達によって演奏、録音されてきました。今回私がグラナドスと彼の作品への最大の敬意を込めて取り組んだこのレコーディングが、なにかしら新しい、小さな貢献に繋がりますように。
2017年1月
フアン・マヌエル・カニサレス